2025/12/26

住環境・環境音

空港圏内の住居で気を付けたい防音ポイント

空港圏内の住居で気を付けたい防音ポイント

センタビ屋|防音吸音材、インテリア、建材

空港圏内の住居とは?メリットとリスクを整理する

「空港圏内の住居」と聞くと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが航空機の騒音です。ただ、実際には「アクセスの良さ」や「家賃・価格の割安感」など、暮らしやすさにつながるメリットも存在します。一方で、音のストレスや将来の資産価値、子育て環境など、長く住むことを考えるほど慎重に検討したいポイントも増えていきます。

環境圏内の防音ポイント

この記事では、空港圏内の住居を検討している人向けに、

  • 空港近くに住むメリット/デメリット
  • 航空機騒音の基礎知識と日本の基準
  • 物件選びのチェックポイント
  • 入居後にできる防音・吸音・防振対策
  • 住宅防音工事の補助制度・リフォームの考え方

を、音のプロ目線で整理します。特に「防音」「吸音」「防振」の役割を分けて考えることで、限られた予算でも体感を上げるコツを具体的に解説していきます。

空港圏内の住居のメリット

  • アクセスの良さ:空港アクセス鉄道や高速道路が整備されていることが多く、都心・地方どちらへも移動しやすい。
  • 商業施設や雇用の多さ:空港関連のホテル・物流・サービス業が集積し、生活圏内の仕事や買い物の選択肢が増えやすい。
  • 相場より割安なケース:同じ距離の別エリアより、騒音リスクを織り込んで販売・賃料が抑えられる例もあります。

「出張が多い」「空港勤務」「LCCをよく使う」など、ライフスタイルによっては空港圏内の住居が生活の質を上げてくれる場合もあります。

空港圏内の住居のデメリット・リスク

  • 航空機騒音・振動:離着陸のタイミングで一時的にかなり大きな音がするほか、低周波の「ゴーッ」という振動を感じる場合もあります。
  • 睡眠・集中への影響:寝入りばなや在宅ワーク中に繰り返し音が入ると、じわじわとストレスになります。特に夜間の運用がある空港では要注意です。
  • 将来の生じうる制限:航空機騒音対策区域の見直しや空港機能強化により、フライト数や経路が変わる可能性があります。
  • 資産価値・売却のしやすさ:空港圏内というだけで敬遠する人も一定数いるため、将来売却や賃貸に出す際の母数が減る可能性があります。

大切なのは、「空港圏内=絶対にダメ」と決めつけるのではなく、自分や家族のライフスタイル・音への感度・将来の計画と照らし合わせて、どこまで許容できるか具体的にイメージすることです。

航空機騒音の基礎知識と日本の基準

どれくらいの音が「うるさい」のか?デシベルの目安

騒音は一般に「dB(デシベル)」という単位で表されます。ざっくりした目安として、

  • 40dB前後:図書館レベル(静か)
  • 60dB前後:普通の会話レベル
  • 70〜80dB:掃除機・幹線道路沿いレベル

といったイメージです。環境省が定める航空機騒音の環境基準では、住宅地に相当する「地域I」で、指標Lden(昼・夕・夜の重み付け平均騒音レベル)57dB以下が望ましいとされています。

文字だけだとイメージしづらいですが、「屋外で聞こえる音」がこのレベルであっても、しっかりした防音サッシや壁があれば屋内ではかなり緩和されます。一方、古い単板ガラス・隙間の多い建物だと、屋内にかなり音が入りやすくなります。

騒音区域と住宅防音工事の補助制度

日本では「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(いわゆる騒防法)」に基づき、騒音の影響が大きい空港周辺では騒音対策区域(第1種など)が指定されています。

この区域内にある住宅については、

  • 住宅の防音工事(防音サッシ・壁や天井の防音・空調設備など)
  • 老朽化した空調機器の更新工事

に対し、国が費用の補助を行う制度があります。また、自衛隊・米軍などの飛行場周辺でも、防衛省による住宅防音工事助成制度が設けられています。

ポイントは、

  • 「どの空港の」「どの区域」に該当するかで、対象・内容・条件が変わる
  • 建てられた時期(告示前か後か)で補助内容が変わることがある
  • 申請窓口は空港ごとに異なり、自治体や空港周辺整備機構、防衛局などが担当する

つまり、「空港の近くだから何でも補助される」というわけではなく、区域図と条件を確認することが非常に重要です。購入・賃貸の検討段階で、自治体のウェブサイトや空港の騒音対策ページをチェックしておくと安心です。

空港圏内の住居選びでチェックしたいポイント

1. 地図と騒音コンターで「場所の当たり」をつける

最初から物件サイトだけを見るのではなく、

  • Googleマップ等で滑走路の向き・長さ・進入経路の方向を確認
  • 自治体や国交省の「航空機騒音マップ」や測定結果ページを確認

といったリサーチから始めると、「そもそも論」で失敗しにくくなります。

ざっくり言えば、

  • 滑走路延長線上・進入経路の真下に近いほど音は大きくなりやすい
  • 少し外れたエリアや建物に遮られる位置では、体感がかなり変わる

ので、同じ「空港圏内」でも、区画レベルで静けさが違ってきます。

2. 物件情報で確認しておきたい項目

空港圏内の住居を選ぶとき、特にチェックしたいのが次のポイントです。

チェック項目見るべきポイント防音・吸音の観点
築年数・構造鉄筋コンクリート造(RC・SRC)は木造より遮音性が高い傾向ただし、室内の「響き」には別途吸音材やカーテンが必要
窓の仕様ペアガラス・防音サッシ・二重サッシかどうか窓の遮音性能が低いと、壁が厚くても音が侵入しやすい
方角・位置滑走路延長線から外れているか、騒音対策壁の内側か同じマンション内でも向きで体感が大きく変わる
間取り寝室が空港側か・道路側か / 廊下やクローゼットの挟み方寝室が外壁から1枚内側になると、体感がかなりマイルドに
空調設備窓を閉め切っても快適に過ごせるエアコン・換気設備防音のために窓を開けにくい分、空調・換気の頼り度が高い

3. 内見は「時間帯」を変えて2回行くのが理想

内見での失敗パターンは、「たまたま飛行機が少ない時間帯だけ見て決めてしまう」ことです。可能であれば、

  • 平日昼間(通常運用時)
  • 早朝または夜(その空港で便がある時間帯)

の2回内見し、

  • 窓を閉めた状態・少し開けた状態それぞれの音の入り方
  • 室内の響き(会話がやけに反響していないか)
  • 天井や壁を軽くノックしたときの「ペコペコ感」

をチェックしておきましょう。響きが強い部屋は、後から吸音パネルや厚手カーテンを足すことでかなり改善できますが、外からの直撃音は建物の条件に左右されやすいため、事前の見極めが重要です。

4. 管理会社・オーナー・近隣に聞きたいこと

  • 「一番うるさい時間帯はいつ頃か」
  • 「窓を開けて寝ている人はいるか」
  • 「過去に騒音トラブルや苦情はあったか」
  • 「住宅防音工事の履歴があるか(あればいつ頃か)」

このあたりは図面からは分からない生の情報です。もし住宅防音工事が入っている物件であれば、窓や壁の仕様が一般的な物件よりしっかりしているケースも多く、防音のベースとしては有利になります。

入居後にできる防音・吸音・防振対策

防音・吸音・吸振対策

空港圏内の住居では、「建物そのものの性能+後から足す対策」でトータルの住み心地が決まります。ここでは、賃貸でも取り入れやすい対策を、「遮音」「吸音」「防振」に分けて整理します。

遮音:音の通り道をふさぐ(窓・ドア・壁)

  • 窓まわりの気密アップ:サッシのパッキン劣化を確認し、必要に応じて隙間テープや気密テープで補強します。特に、戸当たり部分や上下のレール付近は「音の漏れ道」になりやすい部分です
  • 厚手カーテン+レースの二重掛け:床まで届く遮光性の高いカーテンを採用し、ヒダを多めに取ることで、窓からの音と反射をダブルで抑えます。
  • 簡易二重窓・内窓パネル:既製の樹脂内窓やアクリルパネルを追加することで、窓の遮音性能を一段引き上げることができます。

遮音は「重さ」と「連続性」がカギです。薄くて軽い素材を点で貼るより、ある程度の厚み・質量があるものを面で連続させた方が効きやすくなります。

吸音:室内の響きを抑えて、体感騒音を下げる

空港圏内の住居では、外からの音だけでなく、室内の残響が強いと「うるささ」が倍増して感じられます。そこで重要になるのが「吸音」です。

  • 吸音パネルを壁の一次反射面に設置:ソファやデスクに座ったとき、耳の高さの壁面にフェルト系・グラスウール基材の吸音パネルを配置すると、声やテレビの反射がぐっと減ります。
  • 厚手カーテン・タペストリーで面積を稼ぐ:大きめの布で「硬い面」を覆うと、簡易的な吸音効果があります。特に窓側・玄関側の壁面は優先度高めです。
  • 本棚・収納で“でこぼこ”を作る:フラットな面が続くほど音は響きやすくなります。本棚や収納を壁際に配置し、凹凸を作ることで、乱反射を増やしつつ体感を柔らかくできます。

吸音は「厚み<面積」が基本です。少し厚みのある素材を広く使うほうが、ピンポイントに極厚材を少量貼るより効きやすくなります。

防振:振動を抑えて「ゴーッ」という不快感を減らす

航空機騒音には、耳で聞こえる高音だけでなく、体で感じるような低音・振動も含まれます。これを和らげるには、防振対策が効果的です。

  • 床にラグ+ジョイントマット:床にクッション性のある素材を重ねることで、建物を伝ってくる振動の体感をマイルドにできます。
  • 家具・家電の脚に防振ゴム・フェルト:室内で出る振動(洗濯機・冷蔵庫・スピーカーなど)が床に直接伝わらないよう、脚に防振ゴムやフェルトを挟みます。
  • ベッドの位置を外壁から少し離す:ベッドヘッドを直接外壁側につけるのではなく、収納やカラーボックスを挟むだけでも、振動・音の直撃感がかなり変わります。

賃貸OKの簡易対策アイデア

賃貸で原状回復が気になる場合は、

  • 突っ張り棒+布・吸音パネル
  • 粘着力弱めの両面テープ+ピン穴程度で固定できる軽量パネル
  • 床にはジョイントマット+ラグの2層構造

など、「跡が残りにくい」「剥がせる」前提のアイテムを組み合わせるのがコツです。

100均アイテムでも、隙間テープ・フェルト・ジョイントマットなどを「面積」と「連続性」を意識して使えば、空港圏内の住居の体感を底上げすることができます。

より詳しい簡易防音アイデアは、以下の記事も参考になります。

本格的な防音リフォームと補助制度の考え方

どこからが「リフォームレベル」の防音か

空港圏内の住居で、

  • 「窓を閉めても会話やテレビ音がかき消される」
  • 「夜間のフライトで睡眠に支障が出ている」

といったレベルになると、簡易対策だけで解決するのは難しくなります。この場合、

  • 防音サッシへの交換・二重サッシの新設
  • 外壁側の壁・天井の二重化(石こうボード増し張り+遮音シート+吸音材)
  • 玄関ドアの防音タイプへの交換・戸当たりの強化

といった「建材レベル」の対策を検討するフェーズに入ります。遮音シートや吸音材を組み合わせて施工することで、外からの航空機騒音を一段(あるいはそれ以上)下げることが可能です。

遮音シート選びについては、次の記事が詳しいです。

住宅防音工事の補助の基本的な仕組み

騒音対策区域の第1種区域内など、一定の条件を満たす住宅については、前述のように国や空港会社、防衛省などが住宅防音工事の費用を補助する制度があります。

典型的には、

  • 対象区域内であること
  • 一定時期以前に建てられた住宅であること
  • 居住実態があること

などが条件となり、窓の防音サッシ化や空調設備の整備等について補助が受けられるケースがあります。空港ごとに運用が異なるため、検討しているエリアの自治体・空港の窓口に必ず確認しましょう。

補助が出ない場合の考え方

区域外で補助の対象にならない場合でも、

  • 音が特に気になる部屋(寝室・リビング)だけ重点的に防音仕様にする
  • 窓+壁+カーテンの「三層」で考え、費用対効果の高い順に強化していく
  • まずは吸音パネル・ラグ・カーテンなどで室内の響きを整え、最後に残る「外からの音」を建材で詰めていく

といったステップアップ方式をとると、予算を抑えつつ体感を大きく改善できます。

吸音パネルの種類や設置ポイントは、こちらの記事も参考になります。

空港圏内の住居で快適に暮らすための心構え

「完璧な無音」を目指さない

空港圏内の住居では、現実的に「まったく飛行機の音が聞こえない状態」を作るのはかなり難しいです。それよりも、

  • 生活に支障が出ないレベルまで「うるささ」をコントロールする
  • 音が気になる時間帯の過ごし方を工夫する(BGM・ホワイトノイズ・作業時間の調整など)
  • 騒音ゼロではなく「総合的な住み心地」で評価する

といった心構えの方が、結果的に満足度は高くなります。

家族の「音への感度」をそろえておく

同じ音でも、気になりやすい人・そうでない人がいます。入居前に、

  • 早朝・夜間の音を一緒に体験してもらう
  • 「これくらいなら大丈夫」「ここまでいくときつい」とラインを共有する

ことで、後から「思っていたよりうるさい」「自分だけ我慢している」といったギャップを減らせます。特に小さなお子さんや音に敏感な家族がいる場合は、慎重に確認しておきましょう。

まとめ

空港圏内の住居は、アクセスや利便性という大きなメリットがある一方で、航空機騒音・振動という無視できないリスクも抱えています。まずは騒音区域や環境基準の情報を押さえたうえで、「場所」「建物の仕様」「間取り・窓」「住宅防音工事の有無」を丁寧にチェックすることが重要です。そのうえで、入居後は「遮音(音の通り道をふさぐ)」「吸音(室内の響きを抑える)」「防振(振動を弱める)」の三本柱で対策を組み立てれば、賃貸でも持ち家でも、空港圏内ならではのストレスをかなり軽減できます。補助制度や防音リフォームも上手に活用しながら、自分や家族の音の許容度に合った住まいを選んでいきましょう。

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