2026/01/23
住環境・環境音
鉄骨造と木造の違い|コスト・耐震・防音まで一気に整理

鉄骨造と木造の違いを一言でいうと
鉄骨造と木造の違いは、「主要な骨組み(柱・梁)に何を使うか」です。鉄骨造は鋼材で骨組みをつくり、木造は木材で骨組みをつくります。骨組みが違うと、同じ間取りでも「揺れ方」「音の伝わり方」「断熱の考え方」「火災時のふるまい」「コスト配分」まで、設計の最適解が変わります。
この記事では、マイホームや賃貸選びで迷いがちな「鉄骨造と木造の違い」を、比較表+用途別の選び方で整理します。さらに、見落とされがちな防音・吸音(遮音/吸音/防振)の観点も深掘りします。
まず押さえたい:鉄骨造にも“軽量”と“重量”がある
- 軽量鉄骨造:薄い鋼材を用いる(戸建て・低層集合住宅で多い)
- 重量鉄骨造:厚い鋼材を用いる(中高層・大空間・店舗併用で多い)
一口に鉄骨造といっても、部材の太さやスパン(柱間隔)で性格が変わります。同じく木造も、在来軸組(柱と梁+筋かい等)と2×4などで壁のつくり方が変わり、体感(音・揺れ・間取り自由度)に影響します。
性能の違いを比較表で整理(コスト・耐震・断熱・耐火)
| 比較項目 | 木造 | 鉄骨造 |
|---|---|---|
| 設計の自由度 | 工法次第。壁で耐力を取る設計は開口に制約が出やすい | スパンを飛ばしやすく、大開口や広いLDKがつくりやすい(構造計画次第) |
| 耐震(揺れ方) | 軽くて地震力が小さくなりやすい。設計・施工品質が最重要 | 骨組みが強い一方、建物重量や間取りで揺れ方が変わる。接合部・耐力壁計画が重要 |
| 耐火の考え方 | 燃えるが、条件によっては炭化層が進行を遅らせる。法規・仕様の適合がカギ | 燃えないが、高温で強度が落ちやすい。耐火被覆(ボード等)で性能を確保する |
| 断熱・熱橋 | 木は熱を通しにくく、熱橋(熱の逃げ道)を抑えやすい設計になりやすい | 鋼材が熱を通しやすく、熱橋対策(断熱補強・納まりの工夫)が効きやすい |
| 防音(音漏れ) | 壁・床の構成次第。軽い壁だと低音に弱いので“質量+気密+二重化”が重要 | 金属の共振や床衝撃音の伝播が課題になりやすい。制振・防振・充填吸音で改善 |
| コストの出やすい所 | 地盤・耐力壁計画・断熱気密・耐火仕様で上下しやすい | 躯体・接合・耐火被覆・熱橋対策で上下しやすい |
| 将来の間取り変更 | 耐力壁の位置が効く。変更可否は構造計画次第 | 柱梁で耐力を取る設計は変更しやすいことが多いが、配管・床組も要確認 |
「耐震性が高いのはどっち?」の結論
鉄骨造と木造の違いを“耐震=材料の強さ”だけで決めるのは危険です。実際は、構造計算・耐力壁配置・接合部・施工精度・地盤で決まります。木造は建物が軽く地震力が小さくなりやすい一方、壁の配置計画が結果を左右します。鉄骨造は骨組みが強く大空間をつくりやすい一方、プランや重量、接合部設計で揺れ方が変わります。
「燃えない=安全」ではない:耐火は“設計と仕様”で決まる
木造は燃える、鉄骨造は燃えない——このイメージは半分正解で半分誤解です。木造は燃焼しますが、部材が炭化して内部への熱の進行が遅くなることがあります。鉄骨は燃えませんが、高温になると強度が低下しやすく、耐火被覆などで性能を確保します。どちらも、用途・規模・地域(防火地域等)により求められる基準が変わるため、建築基準法の枠組みに沿って仕様を選ぶのが前提です。
住み心地の違いは「断熱」と「音」でハッキリ出る
断熱:鉄骨造は“熱橋対策”が効き、木造は“標準で有利になりやすい”
鉄骨造と木造の違いは、暑さ寒さ(体感温度)にも出ます。ポイントは熱橋(ねっきょう)です。熱橋は、断熱層を貫通して熱が逃げやすくなる部分のこと。木は熱を伝えにくく、木造は熱橋を抑えやすい設計になりやすい傾向があります。一方、鉄骨造は鋼材が熱を伝えやすいため、柱・梁まわりの断熱補強、外張り断熱の納まり、気密の連続など、ディテール(納まり)で差が出やすいです。
ただし結論はシンプルで、どちらも断熱等級やUA値などの目標を決め、熱橋・気密まで含めて設計できているかが勝負です。「木造だから暖かい」「鉄骨だから寒い」と決め打ちせず、仕様と施工の実力を確認しましょう。
防音:鉄骨造と木造の違いは“音の種類”で出やすい
防音は「うるささの正体」を分解すると判断がラクになります。

- 遮音:音を通過させない(音漏れ対策の主役)
- 吸音:室内の反射・残響を減らす(会話の明瞭度、響きの調整)
- 防振:振動として建物に伝わるのを減らす(足音・重低音に重要)
木造で起きやすい音の悩みと対策
- 壁が軽いと、低音が抜けやすい:遮音は“質量(重さ)と気密”が効きます。石こうボード増し張り+遮音シート+すき間処理が基本。
- 床の衝撃音(ドスン)が気になる:床は遮音だけでは不足しがち。防振マットや浮床など、衝撃を受け止める層がカギ。
鉄骨造で起きやすい音の悩みと対策
- 金属が“響きやすい”と感じることがある:薄い面材や下地が共振すると、体感が悪化。制振材+充填吸音(グラスウール等)+二重壁で改善しやすい。
- 集合住宅だと上下階の衝撃音が問題になりやすい:床の構造(スラブ厚、二重床、直床)と仕上げ材で大きく変わる。内見時は床の仕様確認が必須。
“吸音”は木造・鉄骨造どちらにも効く(でも音漏れは止まらない)
吸音材や吸音パネルは、室内の反射音を減らして「響く」「こもる」「声が聞き取りづらい」を改善するのが得意です。配信・在宅会議・楽器練習の満足度は吸音で大きく上がります。
ただし、吸音はあくまで室内の音環境を整えるもの。隣室や外への音漏れ(遮音)には、重さ・気密・連続性(すき間ゼロ)が必要です。鉄骨造と木造の違い以上に、「壁・床・天井・開口部(窓やドア)」の総合設計で決まります。
目的別:鉄骨造と木造、どっちが向く?
1)広いLDK・大開口・ビルトインなど「プラン優先」なら
大空間や大開口は構造計画が難しくなりがちです。鉄骨造はスパンを飛ばしやすく、プランの自由度を取りやすい傾向があります。木造でも可能ですが、耐力壁の配置や梁成、工法選定で条件が増えます。「この間取りが絶対」という場合は、構造種別よりも、実現実績が多い会社を優先すると失敗しにくいです。
2)光熱費・快適性を重視(寒暖差がつらい地域)なら
木造は熱橋の面で有利になりやすい一方、鉄骨造も断熱の設計・施工を詰めれば高性能化できます。大事なのは断熱等級・窓性能・気密(C値目標)を提示できるか。構造(鉄骨造か木造か)だけでなく、標準仕様と現場管理の精度で差が出ます。
3)防音を重視(楽器・配信・在宅ワーク)なら
防音は「構造」より「部屋のつくり方」です。鉄骨造と木造の違いは確かにありますが、勝敗を決めるのは次の3点です。
- 遮音:壁・床・天井の“質量”を稼げているか(石こうボード、遮音シート等)
- 気密:すき間を潰せているか(コンセント周り、建具、配管貫通、換気)
- 防振:衝撃音・低音の振動を切れているか(床の構成、浮床、マット等)
「隣に迷惑をかけたくない」なら、窓・ドア・換気の弱点対策が最優先。室内の響きが気になるなら、吸音パネル等で一次反射点を押さえると体感が一気に改善します。
後悔しないためのチェックリスト(内見・見積もりで使える)
建物選び(賃貸・購入共通)
- 鉄骨造/木造だけで判断せず、床・壁・天井の仕様を確認する(可能なら図面・仕様書)
- 音の弱点になりやすい開口部(窓の種類、サッシ、ドアの気密)をチェック
- 上下階・隣室との位置関係(寝室が隣接していないか、PS・階段が挟まっているか)
- “響き”は現地で手を叩いて確認(残響が長いなら吸音で改善余地あり)
家づくり(新築・リフォーム)
- 断熱:目標の断熱等級、窓性能、気密の目標が明確か
- 防音:遮音(重量・気密)+吸音(反射低減)+防振(振動遮断)の役割分担が設計に入っているか
- 見積:防音を狙うなら「壁の層構成」「すき間処理」「開口部仕様」を明細で出してもらう
よくある誤解(鉄骨造と木造の違いで迷う人がハマりがち)
- 誤解1:鉄骨造なら防音が強い → 実際は壁の層・気密・床の防振で決まります。
- 誤解2:木造は必ずうるさい → 仕様次第で静かにできます。逆に仕様が軽いと鉄骨造でも響きます。
- 誤解3:吸音材を貼れば音漏れが止まる → 音漏れは遮音(重さと気密)。吸音は“室内の響き”改善が主目的です。
関連記事
まとめ
鉄骨造と木造の違いは、骨組みの材料だけでなく、間取り自由度・断熱の考え方(熱橋)・火災時の仕様・そして防音(遮音/吸音/防振)の設計で大きく表れます。防音は構造名だけで決まらず、壁や床の層構成と“すき間ゼロ”の気密が最重要。目的(大空間・快適性・静かさ)から逆算して仕様を比較すると後悔を減らせます。
Posts by Topic
おすすめ記事
只今、おすすめ記事はございません。
新着記事





