2026/02/23
住環境・環境音
マイク音質が激変する部屋作り|防音3ステップ

マイクの音質は「部屋」で8割決まる
「良いマイクを買ったのに、声がこもる・反響する・生活音がうるさい」。この悩み、原因の多くは機材ではなく部屋の音です。マイクは“声だけ”を録る装置ではなく、部屋の残響(反射音)と周囲のノイズも正直に拾います。
そこで本記事は、機材を増やす前にやるべき防音3ステップとして、①ノイズを減らす(遮音・防振・静音)→②反響を減らす(吸音)→③録る場所を作る(簡易ブース・配置)を、配信/オンライン会議/ナレーション録りにそのまま使える形でまとめます。
防音3ステップ全体図|先に「足を引っ張る要因」を消す
音質改善は、足し算より引き算が効きます。次の順番で進めると、失敗しにくく体感が早いです。
- ステップ1:生活音・機械音を減らす(遮音・防振・静音・時間帯)
- ステップ2:反響(残響)を減らす(吸音・一次反射点)
- ステップ3:録音スポットを固定する(簡易ブース+マイク配置)
| ステップ | 狙い | 効きやすい症状 | 即効性 | 費用感 |
|---|---|---|---|---|
| 1:ノイズ減 | “無音の質”を上げる | サーッ、ブーン、生活音、外の音 | 高 | 0〜中 |
| 2:吸音 | 声の輪郭を出す | 部屋鳴り、こもり、カラオケ感 | 高 | 低〜中 |
| 3:録る場所 | 毎回同じ音にする | 日によって音が違う、安定しない | 中〜高 | 0〜中 |
ステップ1|生活音・機械音を「出さない/入れない」
1-1. まず“ノイズ源マップ”を作る(30秒でOK)
録音ボタンを押す前に、部屋のノイズ源を洗い出します。スマホのボイスメモで無音を10秒録って再生するだけでも、原因が見えます。
- PCファン、空気清浄機、エアコン(一定の「サーッ」)
- 冷蔵庫、給湯器、換気扇(低い「ブーン」)
- 窓の外の車・人声、隣室のテレビ(断続的)
- 机の振動、キーボード打鍵、ケーブル接触(ドン・カン)
1-2. “静音”は無料〜低コストで効く
- エアコンは録音前に部屋を冷やして停止(可能な範囲で)
- PCは口元から遠ざける:マイクの近くに置くほどファン音が増えます
- マイクを口元に寄せる:声が大きく録れる=ゲインを下げられる=部屋ノイズが相対的に減る
- 夜・早朝など静かな時間帯にまとめ録り
ポイントは、ノイズを「消す」のではなく、声に対するノイズの比率(S/N)を上げること。これだけで“高いマイクを買った感”が出ます。
1-3. “入れない”は隙間対策が最優先(遮音の基本)
外の音は、壁そのものより隙間から入ります。いきなり大工工事は不要で、まずは弱点を潰します。
- ドア下の隙間:隙間テープ/ドア下ブラシで気密を上げる
- 窓まわり:サッシの隙間に気密材、厚手カーテン(吸音も兼ねる)
- 換気口:運用で止められるなら録音中だけ最小に(結露・換気には注意)
「音漏れ」まで本格的に止めたい場合は、吸音ではなく遮音(重さ・連続性)が主役になります。賃貸なら、貼って剥がせる遮音シートや、開口部の気密改善から始めるのが安全です。
1-4. “振動”を切ると低音のノイズが減る(防振)
机や床の振動は、意外と録音に出ます。特にデスク設置のマイクは、タイピングや肘の動きがドンと乗りがち。
- ショックマウント(あれば最強)
- マイクスタンドを床置きにする(机から分離)
- ラグ/防振マットで床・机の振動を減らす
ステップ2|反響(残響)を減らして「声の輪郭」を出す(吸音)

2-1. 音質を悪くする正体は“初期反射”
オンライン会議で「声が響く」「遠くで喋っているみたい」と言われる原因は、部屋で跳ね返った音がマイクに入ること。特に効くのが一次反射点(声が最初に当たって返ってくる面)です。
2-2. 一次反射点は「マイクの向き×壁」で決まる
難しく考えず、次の“3面”を優先すると成功率が上がります。
- あなたの正面の壁(マイクの奥・PCモニター背面側)
- 左右の壁(耳の高さ付近)
- 天井(机上のマイクは天井反射も入りやすい)
吸音は「点」より「面」。小さなスポンジをちょこちょこ貼るより、壁1面をしっかりのほうが体感が出ます。
2-3. まずは“家庭にある吸音”で反響を減らす
買う前に、今あるもので吸音量を増やせます。
- 厚手カーテン(窓の反射を減らす)
- ラグ・カーペット(床反射を抑える)
- 本棚(凸凹で反射が散り、響きが和らぐ)
- ソファ・布団(低〜中域の吸音に効きやすい)
「何もない四角い部屋」ほど響くので、まずは布・繊維・凹凸を増やすのが近道です。
2-4. しっかりやるなら吸音パネル(厚みと面積が命)
配信やナレーション録りで“芯のある声”に寄せたいなら、吸音パネルの導入が最短です。コツは2つだけ。
- 厚み:薄いほど高音だけ、厚いほど中低音にも効きやすい
- 面積:少枚数の点貼りより、壁1面など連続した面で効かせる
また、吸音は音漏れを止める道具ではない点に注意。音漏れが主目的なら遮音(重さ・気密)とセットで考えるのが失敗しにくいです。
ステップ3|「録る場所」を固定して、毎回プロっぽくする
3-1. 一番ラクで強いのは“簡易ブース化”
部屋全体を完璧にするより、マイク周辺だけを整える方がコスパが高いケースが多いです。
- 背中側(あなたの背面)に吸音:声は背後の壁に当たって戻りやすい
- マイクの背面側に吸音:マイクが拾う方向の反射を減らす
- 机の天板反射を避ける:マイクを少し高めにして、口元から斜めに狙う
3-2. マイク配置の黄金ルール(難しい設定より効く)
部屋を整えたら、最後は“録り方”で仕上げます。
- 距離は近め:口元から近いほど部屋の音が入りにくい(近づけた分、ゲインを下げられる)
- 口の正面ではなく少し外す:破裂音(パ・バ)や息が当たりにくい
- ポップガードを使う:息の直撃を防いで、音が安定する
- 指向性を味方に:カーディオイドなら“マイクの背中側”をノイズ源(PCなど)に向けない
ポップガードは近すぎると効果が出にくいので、マイクと口の間に適切な距離を作りつつ、声量とゲインのバランスを取るのがコツです。
3-3. ありがちな失敗と、すぐ直せる処方箋
- 「こもる」:吸音を増やしすぎて高音が消えている/口元がマイクに近すぎて低音が膨らむ → 距離を少し離す、壁1面は吸音+一部は凹凸(本棚等)でバランス
- 「部屋鳴り」:壁と天井が硬く、反射が多い → ラグ+カーテン+壁1面吸音を優先
- 「サーッ」:ゲインが高すぎる/マイクが遠い → 口元に寄せてゲインを下げる、ノイズ源を遠ざける
- 「ドンッ」:机振動が直乗り → マイクを机から分離、防振を追加
今日からできるチェックリスト|3ステップを10分で回す

チェック1:録音前の“無音10秒”で問題を分離する
- 無音でノイズが目立つ → ステップ1(静音・遮音・防振)を優先
- 喋ると響く → ステップ2(吸音)を優先
- 日によって音が変わる → ステップ3(録る場所固定)を優先
チェック2:最低限そろえるなら、この順で
- 厚手カーテン/ラグ(吸音+生活改善)
- 隙間テープ(遮音の入口)
- 吸音パネル(壁1面から)
- 防振(ショックマウント or スタンド分離)
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まとめ
マイク音質を劇的に上げる近道は、機材より先に「部屋」を整えることです。まず生活音・振動・隙間を潰してノイズ比を改善(ステップ1)。次に壁1面から吸音し、反響を減らして声の輪郭を出します(ステップ2)。最後に簡易ブース化とマイク配置を固定し、毎回同じ“良い音”を再現(ステップ3)。この順番が最短で失敗しません。
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