2025/12/08
環境音
クレームの多い騒音ランキング|賃貸で避けたい音と防音対策

クレームの多い騒音ランキングとは?まずは全体像をつかむ
「うちってそんなにうるさい…?」
騒音クレームは、出している側には自覚がないことがほとんどです。まずは、どんな音がクレームになりやすいのかを整理しておきましょう。
一般的な賃貸・戸建てでクレームにつながりやすい騒音は、おおまかに次のようなランキングになります。
| 順位 | クレームの多い騒音 | よくあるシチュエーション |
|---|---|---|
| 1位 | 話し声・笑い声・電話の声 | 夜の長電話・飲み会・配信・ゲーム通話 |
| 2位 | 足音・ドアの開け閉め・物音 | 子どものドタバタ・イスの引きずり・ドアをバタン |
| 3位 | 楽器・大音量の音楽・カラオケ | ギター・ピアノ・電子ドラム・スピーカー再生 |
| 4位 | ペットの鳴き声 | 留守番中に吠え続ける犬・早朝の鳴き声 |
| 5位 | 洗濯機・エアコンなど家電音 | 深夜の洗濯機脱水・室外機のブーン音 |
どれも「特別な家だけの話」ではなく、どの家庭でも起こりえるものばかりですよね。
だからこそ、
・どこからが“クレームライン”になるのか
・賃貸でもできる現実的な防音・吸音対策
・もしクレームを受けた/出したいときにどう動けばいいか
を知っておくことが大事です。
この記事では、センタビ屋らしく「防音・吸音」の視点を入れながら、クレームの多い騒音をランキング形式で解説していきます。
クレームの多い騒音ランキングTOP5|具体例とNGポイント
1位:話し声・笑い声・電話の声
最もクレームにつながりやすいのは、人の「声」です。特に次のようなケースが典型です。
- 夜遅い時間の長電話(スピーカーモード・オンライン通話)
- 友人を呼んでの飲み会・宅飲みでの笑い声
- ゲーム中のボイスチャットでテンションが上がる声
- ベランダ・共用廊下での長時間の立ち話
声は中高音が多く、壁や天井の遮音性能が足りない建物では、驚くほどよく通ります。
内容まで聞き取れてしまうと、聞かされている側のストレスは一気に増大します。
特に注意したいNGラインは、
・22~23時以降の大きめの会話や笑い声
・窓を開けたままでの通話・動画視聴
・共用廊下やベランダでの電話・通話
あたりです。これが「ほぼ毎日」続くと、相手の我慢も限界に近づきます。
2位:足音・ドアの開け閉め・物を落とす音などの生活音
2位は、いわゆる「生活音」。特に集合住宅では、次のような音が問題になりやすいです。
- 子どもが走り回る・飛び跳ねる足音
- イスを引きずる「ガガガッ」という音
- 早朝・深夜の掃除機・室内での筋トレ
- ドアや引き戸をバタン!と閉める音
これらは「ドン」「ガン」といった衝撃音・低音成分が多く、床や壁、柱を通して建物全体に伝わります。音源から離れていても響きやすいため、「どこから聞こえているのかわからないけど、とにかくうるさい」と感じられやすいのが特徴です。
床がフローリング1枚だけ・軽量鉄骨・築年数が古い物件などは特に注意が必要です。
3位:楽器・大音量の音楽・カラオケ
3位は、趣味系の音。楽器や音楽は、音の出る時間帯・頻度・音量によって、一気に“ご近所トラブル案件”へと変わります。
- ギター・ベースをアンプにつないで練習
- 電子ピアノやキーボードを夜遅くまで演奏
- 自宅でカラオケアプリを大音量で熱唱
- スピーカーでの映画鑑賞・音楽再生
楽器音は「中高音+低音」がミックスされた広帯域の音です。
吸音材だけで完全に止めるのは難しく、本格的な防音(防音室・二重壁・浮き床など)が必要になるケースもあります。賃貸では現実的にそこまでできないことが多く、クレームに発展しやすいジャンルといえます。
4位:ペットの鳴き声(特に犬)
4位は、ペットの鳴き声。特に犬の高い鳴き声は、体感的に「耳につきやすい」音です。
- 留守番中に玄関方向に向かって吠え続ける
- 早朝の散歩前に興奮して甲高く鳴く
- 来客や配達のたびに長時間吠え続ける
窓や玄関ドアの遮音性能が低いと、鳴き声がそのまま外へ抜けてしまいます。「1日中」「毎日」といった頻度になると、自治体や管理会社への相談案件になることも珍しくありません。
5位:洗濯機・エアコン・換気扇などの家電音
5位は、生活家電から出る音。中でも多いのが次のようなものです。
- 深夜の洗濯機の脱水時の「ゴウンゴウン」という振動音
- ベランダ置き洗濯機が床や手すりを揺らす音
- エアコン室外機のブーンという連続音
- テレビ・スピーカーを壁際で大音量にしている音
洗濯機や室外機から出る振動は、床・壁・手すりを伝ってかなり遠くまで届きます。本人は「そんなにうるさくない」と思っていても、夜中の静かな時間帯にはかなり目立つ音になりがちです。
なぜその音がクレームになる?音の性質と建物構造を理解する
「内容が聞こえる音」はストレスが倍増する
人の声やテレビ・配信の音は、「内容までわかる」ことがストレスの大きな原因です。
- ケンカの内容が筒抜けで聞いていてつらい
- バラエティ番組の笑い声やBGMが延々と流れている
- ゲーム中の大声や叫び声が1フレーズごとに聞こえる
こうなると、単なる「音」ではなく「精神的な負担」になります。
自分の家なのに気持ちが休まらない状態が続くと、「我慢の限界 → クレーム」という流れになりやすくなります。
このタイプの音に効きやすいのが、室内の反射音を減らす「吸音」です。
壁や天井の一部に吸音パネルや厚手の布・カーテンを取り入れることで、同じ音量でも響き方が変わり、体感音量を下げやすくなります。
足音・洗濯機などの“ドスン系”は建物全体を揺らす
一方で、足音や洗濯機の振動などの「ドスン」「ゴトゴト」系の音は、空気中ではなく建物の構造体を通って伝わる「固体伝播音」です。
・子どもが飛び跳ねる → 床 → 梁・柱 → 下階天井
・洗濯機が暴れる → 防水パン → コンクリートスラブ → 隣室の壁
という経路で伝わるため、音源からかなり離れた部屋でも響きます。
このタイプの音には「防振」が有効です。
- 厚手のラグやジョイントマットで足元の衝撃を柔らかくする
- イスやテーブル脚にフェルト・ゴムを付ける
- 洗濯機の下に防振ゴム+合板などを敷いて面で支える
防振は“クッションを挟んで振動を弱くする”イメージです。
それ単体では完全防音にはなりませんが、「ドン!」が「トン」くらいに変わるだけでも、体感は大きく変わります。
「吸音・遮音・防振」の役割をざっくり整理
騒音対策で混乱しがちなキーワードがこちらです。
- 吸音:室内の反射音を減らし、響きを抑える(声・音楽のこもり・反響対策)
- 遮音:壁や窓の質量を増やし、音の“通り道”をふさぐ(音漏れ対策)
- 防振:クッションなどで振動を弱める(足音・洗濯機・家電の揺れ対策)
「吸音パネルを貼れば音漏れが止まる」というのは誤解で、
実際には、
・声や響き → 吸音メイン+ちょっと遮音
・外に漏れる音 → 遮音メイン+状況により吸音
・ドスン系の振動 → 防振メイン+床構造の見直し
というように、組み合わせが変わってきます。
ランキング上位の騒音別|賃貸でもできる防音・吸音対策

1位:話し声・笑い声・テレビ音への対策
声・テレビ音には、「音量を上げずに済む環境づくり」が一番効きます。
- テレビ・スピーカーを壁から少し離し、背面には吸音パネルや厚手タペストリーを配置
- よくしゃべる位置(ソファ・デスク)と隣室を仕切る壁に吸音材や本棚を置く
- オンライン会議・ゲーム通話はヘッドセットを使い、自分の声も少し抑えめに
- 窓際での長電話は控え、カーテンを閉めた状態で話す
「響きを抑える → 小さな声でも通じる → 結果として音漏れも減る」という流れを作るイメージです。
吸音についてもっと深く知りたい場合は、センタビ屋のこちらの記事も参考になります。
2位:足音・ドタバタ・イスの引きずり音への対策
足音対策の基本は「面で受ける+クッション」です。
- リビングや子ども部屋には厚手のラグやジョイントマットを敷く
- イス・テーブルの脚にはフェルトやゴムキャップを付ける
- 子どもの激しめの遊び(ジャンプ・追いかけっこ)は、時間帯や部屋を決めてあげる
- 筋トレ器具は直置きせず、固めのマットを複数枚重ねて設置する
「床全体を柔らかくする」のが理想ですが、難しければ「よく動く場所だけでも厚めに敷く」だけでもかなり変わります。
100均のアイテムでも、「面積をケチらずにしっかり敷く」ことを意識すると効果が出やすくなります。
3位:楽器・音楽・ゲーム音への対策
楽器・音楽は、正直に言うと「本気の防音」をしない限り限界があります。とはいえ、賃貸でもできる範囲で次のような対策は有効です。
- 演奏は20時前まで・1日○時間までなど、自分でルールを決める
- アンプの下に防振ゴム+合板+マットの三層構造を敷き、床から浮かせる
- 電子ピアノ・電子ドラムは専用マット+厚手ラグを併用し、壁から少し離す
- スピーカーは壁付けよりもスタンド+防振パッドで設置し、できるだけ小音量・短時間で
それでも本格的に弾きたい場合は、「平日はスタジオ・休日は自宅の軽練習」のように、場所を分けてあげると安心です。
4位:ペットの鳴き声への対策
ペットの鳴き声は「鳴かせない」が理想ですが、現実には難しいもの。
ポイントは「鳴く回数を減らす+外への抜け方を弱める」の二軸です。
- 玄関・窓に向かって吠えやすい場合は、ケージ位置を部屋の内側に移動する
- ケージ周りの壁・床に吸音性のあるマットやパネルを敷き、反射を抑える
- 留守番時間を見直し、知育玩具やおやつでストレス発散の工夫をする
- しつけ教室やプロのトレーナーに相談し、吠えグセそのものを減らす
完全に音を消すことはできませんが、「朝晩の決まった時間だけ」「短時間に限定」という状態になれば、クレームに発展するリスクは大きく下がります。
5位:洗濯機・エアコン・家電の音への対策
生活家電は、「時間帯」と「接地の仕方」を見直すだけでかなり変わります。
- 洗濯機の下に防振ゴム+合板を敷き、四隅が均等に接地するよう調整する
- 脱水・乾燥はできるだけ22時より前に終わるようタイマーを活用
- エアコン室外機を壁や手すりから離し、物が接触していないか定期的にチェック
- テレビの音量は「会話ができるギリギリより一段階小さい」を意識する
「夜中に回っている機械音」は、静かな分どうしても目立ちます。生活リズムの見直しも立派な防音対策の一つです。
物件選びの段階からできる騒音リスク回避
「壁が薄い賃貸」を内見で見分けるポイント
そもそも物件の防音性能が低いと、どれだけ対策しても限界があります。内見のときにチェックしたいのは次のポイントです。
- 朝・夕方・夜など時間帯を変えて周辺の音を確認する
- 窓を閉めた状態で、隣室のテレビ音や話し声が聞こえないかを耳を澄ませて確認
- 玄関ドア・窓・換気口の数や位置を見て、「音の抜け道」が多すぎないか見る
- 壁を軽くノックして、あまりに軽くペコペコ鳴るようなら要注意
詳しいチェックポイントや入居後の対策については、センタビ屋のこちらの記事が参考になります。
クレームを「受けた/出したくなった」時の進め方
クレームを受けた側:まずやるべきこと
いきなり「うるさいんですけど!」と来られると、つい感情的になってしまいますが、落ち着いて次のステップを踏むのがおすすめです。
- 相手の話を最後まで聞き、「時間帯・音の種類・頻度」をメモする
- 同じ時間帯に自分でもスマホで録音してみて、どの音が問題かを把握する
- できる対策(時間帯をずらす・マットを敷く・配置を変える)をすぐに実施する
- 実施した対策を写真やメモで記録し、管理会社・大家にも共有しておく
「ちゃんと対策しています」と示せれば、相手の印象も大きく変わります。
完全に音をゼロにできなくても、「改善に動いているかどうか」でトラブルの深刻度は大きく変わります。
クレームを出したい側:いきなり怒鳴り込まない
一方、騒音に悩まされている側は、つい感情的に相手の部屋へ行きたくなりますが、それは最終手段です。おすすめのステップは次の通りです。
- 1~2週間程度、「いつ・どのくらい・どんな音がしたか」を簡単にメモする
- スマホで録音しておき、音の種類や大きさのイメージを残す
- 管理会社や大家に、記録を添えて冷静に相談する
- それでも改善が見られない場合は、自治体の相談窓口など公的機関も検討する
本人に直接伝えると、「言った/言わない」のトラブルや、人間関係そのもののこじれにつながるリスクもあります。
まずは管理会社をクッションに使い、自分の側でも防音・吸音対策をしながら様子を見るのが安心です。
どうしても難しい場合は「引っ越し」も選択肢
残念ながら、防音性能が極端に低い建物や、注意しても改善してくれない相手の場合、「自分の健康を守るために離れる」という選択肢も現実的です。
・睡眠障害や体調不良が続いている
・管理会社も相手も動いてくれない
・精神的に限界を感じる
といった場合は、無理をして居続けるよりも、「次は防音性を重視した物件選びをする」と切り替えるほうが、長期的にはプラスになることも多いです。
まとめ|ランキング上位の騒音を「時間帯」と「防音」でコントロールしよう
クレームの多い騒音ランキングの上位には、話し声・笑い声・足音・楽器・ペット・家電など、どの家庭でも起こりうる音が並びます。ポイントは、「どこからが他人にとってストレスになるラインか」を知ったうえで、時間帯と頻度、そして吸音・遮音・防振の組み合わせで“クレームライン”を下回るようコントロールすることです。厚手ラグや吸音パネル、防振マット、100均アイテムなどを上手に使えば、賃貸でも体感をかなり変えられます。いざトラブルが起きたときは、感情的にぶつかる前に、記録と相談窓口を活用しつつ、必要なら「物件を変える」という選択肢も視野に入れつつ、静かでストレスの少ない暮らしを守っていきましょう。
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