2025/12/05
環境音
賃貸の引っ越し原因10選|防音で解決できる?

「そろそろ引っ越したいな…」と思い始めたとき、そのきっかけは人それぞれです。ただ、よくよく分解してみると、多くの人が似たような理由で賃貸の引っ越しを考えています。中でも多いのが、騒音や音漏れといった“音ストレス”。
この記事では、賃貸の引っ越しを考える主な原因10個と、「それって本当に引っ越すべき? それとも防音・吸音で改善できる?」という視点で整理していきます。引っ越しはお金も時間もかかる大イベント。防音対策で解決できるなら、今の部屋にもう一度チャンスをあげるのも選択肢のひとつです。
賃貸で引っ越しを考えるとき、まず整理したいこと
いきなり物件探しを始めないほうがいい理由
引っ越したい理由がモヤモヤしているまま物件サイトを見始めると、「今よりマシかも」という感覚だけで決めてしまいがちです。その結果、家賃は上がったのに別の不満が増えたり、「前の部屋のほうがマシだったかも…」と感じることも。
まずは今の不満を書き出し、「物件そのものの問題」「周辺環境や人間関係の問題」「自分の使い方やライフスタイルの問題」に分けてみましょう。この作業をすると、
- ①引っ越し一択の問題
- ②防音・吸音やレイアウト変更で改善できる問題
- ③生活習慣を変えればかなり軽くなる問題
の3つに分けやすくなります。引っ越し理由の調査でも、騒音・近隣トラブル・設備不良・家賃負担などが上位に挙がることが多く、ひとつの理由だけでなく複数の不満が重なって決断に至るケースが目立ちます。
「防音でどうにかなるか?」を一度だけ検討してみる
特に音の悩みは、
- 部屋の構造が原因(壁が薄い・サッシが古い)
- 人が原因(足音が激しい・深夜に大音量)
- 自分側の使い方(オンライン会議・楽器・ゲーム音など)
のどこに問題があるかで、解決アプローチが変わります。建物そのものが極端に防音性の低い構造であれば、引っ越し判断が妥当なことも。その一方で、「隙間をふさぐ」「吸音パネルやラグを足す」などの対策で、体感を大きく改善できるケースも少なくありません。
賃貸の引っ越しを考える主な原因10選

1. 騒音・音漏れなどの「音ストレス」
「上の階のドタドタ音」「隣のテレビや会話」「外の車やバイク音」など、音の悩みは賃貸の引っ越し理由の中でもかなり上位です。特に在宅時間が増えた人ほど、少しの物音が気になるようになりがちです。
音の悩みは、防音(遮音)と吸音を組み合わせることで軽くできる場合があります。たとえば、
- 窓の隙間に気密テープを貼る・厚手カーテンを二重にする(外からの騒音対策)
- 戸境壁側に吸音パネルや置き型の吸遮音ボードを置く(隣室からの声・テレビ音対策)
- ラグ+防振マットで床のドン音を和らげる(足音や椅子の引きずり音対策)
といった工夫は、賃貸でも原状回復しやすい定番の手です。
2. 隣人トラブル・マナー問題
ゴミ出しのルールを守らない、共用部での騒ぎ声、夜間の大声での電話など、「人」にまつわるストレスも引っ越しの大きなきっかけになります。騒音トラブルの場合は、感情的になる前に「日時・音の種類・継続時間」をメモし、騒音計アプリなどで記録を残してから管理会社に相談する流れが推奨されています。
ただし、相手が対応してくれない・管理会社もほとんど動いてくれない場合、「ここはもう自分の生活を守れない場所」と割り切って引っ越すのも現実的な選択肢です。
3. 建物の老朽化・設備の故障
築年数が古い物件では、水漏れ・結露・カビ・給湯器トラブルなどが増えやすくなります。ちょっとした不具合なら修理で済みますが、「直しても直しても次々問題が出てくる」「管理会社の対応が遅い」という状態が続くなら、長く住み続けるメリットは薄くなっていきます。
建物の老朽化は防音性能にも影響します。隙間が多い古いサッシや、薄い中空壁のままの部屋では、いくら吸音材を追加しても「そもそもの遮音性能」が頭打ちになりやすいからです。頻繁な設備トラブル+音の抜けがひどいなら、物件ごと変えるのが近道のこともあります。
4. 日当たり・風通し・結露などの環境ストレス
「一日中ほとんど日が入らない」「窓を開けると車の騒音やホコリがすごくて換気できない」「冬場は結露で窓や壁がびしょびしょ」という環境ストレスも、じわじわ効いてくる引っ越し理由です。
窓の結露やカビは、吸音パネルや遮音カーテンを設置する場所にも影響します。湿気の多い場所に吸音材を直貼りしてしまうと、裏側がカビやすくなるため、通気を確保した固定方法が必要です。それでも根本的な結露の量が多すぎる場合は、建物側の問題が大きく、引っ越しを視野に入れたほうが安心です。
5. 間取り・収納不足で暮らしづらい
「ワンルームで寝る・食べる・仕事するを全部同じ空間でやっている」「収納が足りず床置きが増えて落ち着かない」など、間取りや収納の問題から引っ越しを考える人も多いです。
実は、このタイプの不満は防音・吸音とも相性が良いケースがあります。たとえば、
- 背の高い収納棚を戸境壁側に配置し、その裏に吸音パネルや吸遮音ボードを仕込む
- クローゼットの中に吸音材を貼り、簡易的な録音スペースやオンライン会議ブースとして活用する
など、「収納を増やしつつ、同時に音も和らげる」という工夫ができるからです。家具の配置と音の通り道を意識するだけでも、体感は変わります。
6. 家賃と生活費のバランスが崩れた
物価高や収入の変化で、「契約当初は余裕があった家賃が、だんだん重く感じるようになった」というパターンもあります。家賃は毎月の固定費なので、ストレスを感じ続けるとメンタルにも影響しがちです。
同じ防音性能なら、駅徒歩や築年数を少し妥協することで家賃を下げられる場合もあります。逆に、「家賃は少し上がっても、防音性の高い鉄筋コンクリート造・二重サッシ物件に移る」という判断も、音ストレスが大きい人には十分アリです。
7. 仕事・学校・ライフステージの変化
転職・転勤・結婚・出産など、ライフステージの変化も大きな引っ越し要因です。特に子どもが生まれると、
- ベビーカーの出し入れのしやすさ
- 子どもの泣き声や足音が近隣に与える影響
- 在宅時間の増加による音の出入り
など、「音」の優先度がぐっと上がります。家族構成が変わるタイミングでは、防音性や吸音しやすい間取り(壁の余白がある、低い位置に窓がないなど)もチェックポイントに加えたいところです。
8. テレワークや趣味に合わない住環境
リモートワークや配信・楽器演奏など、自宅で声や音を出す時間が増えた人にとって、「部屋の響き」と「音漏れ」は死活問題です。オンライン会議中の声が部屋で反射して聞き取りにくい、録音した声がこもる…といった悩みも、実は吸音パネルやラグでかなり改善できます。
一方で、木造アパートで深夜まで楽器演奏をしたい、爆音で映画を見たいという場合は、どれだけ防音しても限界があります。その場合は、最初から防音室付き物件や、防音性能の高いマンション+スタジオ併用など、住まいの選び方自体を見直したほうが現実的です。
9. 防犯・災害リスクへの不安
周辺での不審者情報、共用部への不法投棄、建物の耐震性や水害リスクなど、安全面の不安も引っ越し理由になります。防犯面では、窓や玄関まわりを防犯フィルムや補助鍵で強化しつつ、遮音カーテンや吸音ボードで外からの視線・音を和らげると、「外と自分の生活音の距離」ができて安心感も高まります。
ただし、ハザードマップ上で明らかにリスクが高いエリアや、老朽化が激しい耐震性不明の建物など、「構造・立地」そのものに大きな不安がある場合は、防音ではカバーしきれません。ここは迷わず引っ越し候補に入れたいポイントです。
10. 更新料・オーナー都合など契約条件の変化
賃貸契約の更新タイミングで、家賃値上げや更新料、駐車場の空き状況などが変わることがあります。また、オーナーの建て替え・売却の都合で退去が必要になるケースも。
このタイミングは、「どうせ出費が増えるなら、防音性の高い物件に移る」「今の部屋を防音リフォームしてまで住み続ける価値があるか?」を考える大きなきっかけになります。音に悩んでいるなら、更新の前後は特に「引っ越し」と「防音」のコスパを冷静に比較したいタイミングです。
「騒音がつらいとき」は引っ越し?防音?判断の目安
引っ越しを優先したほうがいいケース
次のような場合は、防音グッズを買い足すよりも、物件自体を変えたほうが早いことが多いです。
- 24時間いつでも騒音がある(幹線道路・線路・工場のすぐそばなど)
- 建物構造が木造・軽量鉄骨で、壁が極端に薄いと感じる
- 管理会社に相談しても何度もトラブルが繰り返されている
- 防音対策をかなり頑張っても、夜眠れないレベルの騒音が続いている
まず防音・吸音で様子を見るケース
逆に、次のような条件なら、すぐに引っ越しではなく「原状回復しやすい防音・吸音」を試す価値があります。
- うるさい時間帯がほぼ決まっている(朝の通学時間帯だけ、など)
- 壁1面や窓1枚から、ある程度音の方向が特定できる
- 「ちょっと響く」「テレビのボリュームを下げづらい」といった中程度の悩み
- 防音予算として1〜3万円程度を出せる
| 状況 | おすすめ判断 |
|---|---|
| 眠れないレベルの騒音が頻発 | 引っ越し優先。並行して管理会社・自治体に相談 |
| 人の話し声やテレビ音がうっすら聞こえる | 戸境壁側の吸音+遮音ボード、隙間封止を試してから検討 |
| 外の車音が気になる | 厚手カーテン+防音ライナー+気密テープで様子見 |
| オンライン会議の声が部屋で響く | 吸音パネルやラグで残響を減らす(引っ越しは急がなくてOK) |
管理会社・大家への相談ステップ
騒音が原因で引っ越しを迷っている場合、いきなり退去の話をするのではなく、
- 日誌や録音で「いつ・どんな音」がしているかを記録
- 管理会社に事実ベースで相談(感情的な表現を避ける)
- 改善が見込めない場合は、更新前に退去or条件交渉を検討
という順番を意識すると、無用なトラブルを避けつつ、自分の行動も決めやすくなります。
賃貸でもできる防音・吸音アイデア
原状回復しやすい防音の順番
賃貸での防音は、「原状回復のしやすさ」と「効果」のバランスが大切です。おすすめの順番は、
- 隙間をふさぐ(ドア・窓・建具のすき間に気密テープ)
- 窓まわりを強化(厚手カーテン+防音ライナー、簡易内窓)
- 壁の吸音(ピン穴程度で済む吸音パネルを壁一面に)
- 床の防振(ラグ+防振マット)
- 置き型の吸遮音ボードで壁の“重さ”を追加
このあたりまでは、多くの場合「原状回復OK」の範囲に収まりますが、念のため管理会社に確認しておくと安心です。賃貸DIYの原状回復ラインと、防音DIYのOK/NGの線引きについては、センタビ屋の別記事でも詳しく解説されています。
「音の種類」別の対策アイデア
人の声・テレビ音が気になる場合
- 戸境壁側に背の高い収納+吸音パネルを組み合わせて「重い壁」を作る
- コンセントや配管まわりのすき間をスポンジやパテで埋める(原状回復できるタイプ)
- テレビは壁側ではなく窓側に向けるなど、音の向きを工夫する
足音・ドアの開け閉めが気になる場合
- 床にラグ+高反発の下敷きマット+防振ゴムの三層構造をつくる
- 椅子やテーブルの脚にフェルトキャップをつける
- ドア枠とドアのすき間に戸当たりクッションを貼って、バタン音を減らす
自分が出す音(オンライン会議・楽器など)
- マイク周辺と背面の壁に吸音パネルを設置して、声の反射を抑える
- 楽器は防振マット+ラグの上で演奏し、壁から少し離して置く
- 録音や配信は、クローゼットの中や吸音材を置いたコーナーを活用する
こうした吸音の工夫は、音漏れ対策だけでなく、「自分が聞きやすい・話しやすい」環境づくりにも役立ちます。
後悔しない賃貸引っ越しの進め方
優先順位シートを作る
本格的に引っ越しを検討するときは、
- 防音性(構造・窓・周辺環境)
- 家賃・初期費用
- 立地(通勤時間・生活圏)
- 間取り・収納
などをリストアップし、「絶対にゆずれない/できればほしい/あったら嬉しい」の3段階でチェックしておきましょう。特に音に敏感な人は、「構造(鉄筋コンクリート造か)」「内見時の静かさ」「窓の数と位置」を上位に置くのがおすすめです。
内見でチェックしたい防音ポイント
内見時には、
- 壁をノックしてみて、厚みや中空感を確かめる
- サッシや玄関ドアの隙間から光が漏れていないか
- 昼・夕方・夜など時間帯を変えた周辺騒音
を確認しておくと、入居後のギャップを減らせます。センタビ屋の「壁の薄い賃貸の見分け方」記事では、内見でのチェックリストや、入居後の防音ステップが詳しく紹介されています。
引っ越し前後にできる「音トラブル予防」
新居が決まったら、引っ越し前後でできる音トラブル予防として、
- 最初からラグや厚手カーテンを用意しておく
- 家具レイアウトを「音の出口」を意識して決める
- 近隣に挨拶するタイミングで、生活時間帯の目安を軽く共有する
といった工夫がおすすめです。とくに、賃貸で「隣の部屋が煩い」トラブルを避けたい人は、自分側も早めに吸音・防振の準備をしておくと、安心して新生活を始められます。
まとめ
賃貸の引っ越しを考える原因は、騒音・近隣トラブル・設備不良・間取りや家賃の不満などさまざまですが、多くの場合はいくつかの要素が重なって「もう限界かも」と感じるようになります。特に音の悩みは、引っ越し一択に見えても、隙間封止・窓の強化・吸音パネル・ラグなど、原状回復しやすい防音・吸音で改善できる余地が残されていることも多いです。まずは不満の棚卸しと、防音で解決できる部分・できない部分の切り分けを行い、そのうえで「今の部屋に投資するか」「物件を変えるか」を冷静に選びましょう。防音の視点を持って引っ越しを進めれば、次の住まい選びでの失敗もぐっと減らせます。
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